ホクロとは
ホクロは、医学的には色素性母斑や母斑細胞母斑と呼ばれ、良性の母斑細胞(ほくろ細胞)の集まりです。生まれてから生後2~3年の間に発症しますが、思春期から青年期に発症するものもあります。
表皮または、その下の真皮に母斑細胞というメラニン色素を作る細胞があるため、母斑細胞母斑と呼ばれます。身体の広範囲に黒色の色素斑(しみ)ができますが、平坦な色素斑や皮膚表面から隆起したものなど様々です。大きさは通常直径5mm以下の場合がほとんどですが、それ以上の大きさで徐々に大きくなるものはメラノーマの可能性も考えられるため注意が必要です。
種類としては、以下のようなものがあります。
- 黒色の色素斑の上に硬毛が生えている獣皮様母斑(巨大色素性母斑)
- 褐色の色素斑で皮膚表面より隆起せず母斑細胞が存在しない扁平母斑
- 青色をしている病変で真皮内で色素細胞が増殖している青色斑
- 黒青色の丘疹・腫瘤である青色母斑
ホクロの原因
ホクロには、先天性のものと、思春期以降にできる後天性のものがあります。後天性のホクロは、原因がはっきりと解明されていない部分もありますが、大きな原因として紫外線が挙げられます。人の肌は大量の紫外線を浴びるとメラニンを作り出し、紫外線を吸収します。夏場に日焼けをしても、新陳代謝が活発で肌サイクルが正常に働いていれば、肌は元の状態に戻ります。メラニンを作る過程でメラノサイトが活性化しすぎたり、なんらかの刺激を受け異常を起こすことにより、ホクロは形成されます。
また、後天的にホクロができる原因の大半は紫外線によるものですが、日頃のストレスや疲労、生活習慣の乱れなどによってできることもあります。さらには、「外部刺激」によりホクロができることもあります。キツイ下着や靴などで皮膚が頻繁にこすれたり、仕事などでカラダの同じ部分に常に熱や重量がかかっていたりなどして、こすれたり圧迫されたりすることで細胞が傷ついてしまうためです。
ホクロの主な治療法
ホクロの摘除は大きさにより、外科手術的にとる方法とレーザーを用いる方法があります。レーザーメスと呼ばれる「炭酸ガスレーザー」というものを使用します。
ホクロの除去では、ホクロのもとである母斑細胞を完全に取りきることが必要です。特に顔のホクロでは、できるだけ傷を残さないように、必要最小限の範囲だけを除去することが重要となります。完全に母斑細胞を除去し、傷をできるだけ残さないために手術、レーザーそれぞれの長所・短所を考慮して、治療法を決定します。
手術のメリットは、保険適応となることとホクロを確実にとりきれ、病理検査により正確な診断が可能であるということがあります。デメリットとしては、抜糸の手間が必要であることと、一度に多くのホクロの摘除には適さないということがあります。炭酸ガスレーザーはホクロが小さくて数が多い症例に適しています。逆に病理診断が必要な場合や大きいホクロには不向きです。ピンポイントで深く母斑細胞を除去することができるため、ホクロの除去に適しています。
ホクロに関するQ&A
- Q.ホクロが増えたり大きくなったのは何かの病気ですか?
- A.ホクロは、後天的にできますので、ホクロの数が増えるということはよくあることです。悪性ではないホクロも大きくなることがあります。急速に大きくなる、ホクロから出血するなどのことがあれば、早急に皮膚科に相談しましょう。
- Q.どんなホクロやしみに気を付ければいいですか?
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A.1年に1回は全身の皮膚のホクロやしみをチェックしてください。自分で見えない頭髪部や背中はご家族や親しい方にに見てもらいましょう。その際は、以下に挙げる4つのポイントについてチェックしてください。2つ以上あてはまるようであれば、お近くの皮膚科を一度受診されることをお勧めします。多少なりとも悪性の疑いが指摘されたのであれば、がん専門病院や大学病院を紹介してもらいましょう。
- しみ・ホクロの形が左右対称でない。
- しみ・ホクロのまわりがギザギザしている。
- しみ・ホクロの色が均一でなく、濃淡が混じっている。
- しみ・ホクロの直径が6mm以上ある。
- Q.ホクロについて、日常どんなことに気を付ければよいですか?
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A.メラノーマの発生について、欧米の白色人種は日本人より十倍以上多いというデータがあります。白色人種は日本人より肌の色がうすく、紫外線に対する防御も弱いと考えられますので、皮膚やホクロに対して、多量の紫外線を受けることはよくないと考えられます。スポーツや野外の活動のときは、必ず日焼け止めクリームなどを使用するなど、過度な紫外線を受けないようにしましょう。汗でクリームが流れ落ちることもありますので、その場合は追加して使用するようにしましょう。とくに肌の色白の方は、要注意です。
メラノーマの患者さんからは、ホクロを時々いじったり、傷つけたりしてから、ホクロが変化してきたと言うお話をしばしば耳にしますので、ホクロは癖でいじったり、自分で無理に取ろうと傷つけたりしないで、できるだけ刺激しないよう心掛けてください。