乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)
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乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)とは
症状
皮膚表面がガサガサしていたり、白い粉をふいたようになったり、ひび割れができて痛みやかゆみが発生しているのが主な症状です。かゆいからと言ってかきむしり続けると、ゴツゴツとした慢性湿疹となり長期の治療が必要になることもあります。
原因
皮膚が乾燥などによって角質層がはがれてしまうことが主な原因です。皮膚の表面は、皮脂膜と角質層でできています。角質層は水分を多く含み、肌に潤いを保つ役割があります。また、皮脂膜は油分を多く含み、角質層の水分を逃がさないようにしています。しかし肌の表面が乾燥することで、角質層の水分が蒸発し小さな隙間ができてしまいます。結果、この小さな隙間に様々な物質が入り込み、かゆみなどを伴う炎症を引き起こしてしまうのです。
なりやすい人
洗剤や化学薬品を触る→美容師・看護師・主婦
紙やパソコンをよく触る→銀行員・オフィスワーカー
基本的には加齢による皮脂膜・角質層の潤いを保つ能力の低下が、乾燥肌を引き起こします。
しかし、最近では若い人や子どもにも増えてきています。理由としてはアトピー性皮膚炎になりやすい人であることや、せっけん・ボディシャンプーを多用するなどが挙げられます。
乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)の原因
乾燥肌の主な原因は、体外からの刺激である「外的因子」と体内の要因である「内的因子」の2種類になります。
体外からの刺激 (外的因子) |
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体内からの刺激 (内的因子) |
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乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)の主な治療法
乾燥肌は、薬物療法が行われます。
効用(効き目)と薬 | |
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塗り薬 | 炎症を抑える→ステロイド外用薬 肌の乾燥を防ぐ→尿素軟膏、MPS軟膏 |
飲み薬 | かゆみの原因物質を抑える→抗ヒスタミン薬 |
※ステロイド外用薬についての注意点
乾燥肌に高い効果が期待できるステロイド薬ですが、ニキビができやすくなったり、生理痛や慢性的な疲労感、免疫力低下などの副作用がでることがあります。医師の指示に従い適切な治療で乾燥肌を治しましょう。
※抗ヒスタミン薬についての注意点
抗ヒスタミン薬は、かゆみの原因になるヒスタミンという化学物質の働きを抑える薬です。ヒスタミンは皮膚ではアレルギーなどを起こす物質として作用しますが、脳内では昼間眠くならないようにしたり、記憶力を高めたり、活動量を増やしたりする大事な働きをしてくれます。抗ヒスタミン薬の中にはこれらの活動を妨げてしまうものもあります。まずは皮膚科医に相談してみましょう。
日常生活における乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)の注意点
皮脂量を減らさないこと
症状は主に皮脂が少ないとされている、足などに発生します。入浴時にせっけんで体を洗うことで、皮脂は減少してしまいます。なので、せっけんを使う頻度を減らすことをお勧めいたします。
また、体を洗う際にもタオルでゴシゴシこすると、皮膚が傷つき、湿疹が発症する可能性があります。肌を傷つけない柔らかいタオルや手で泡立てて、優しく洗うようにしましょう。
水分量を減らさないこと
空気が乾燥することで、皮膚の水分量も低下します。冬に備えて、秋の段階からスキンケアを行うことで水分量低下を防ぎ、発症を予防することができます。保湿剤を塗るタイミングは、入浴後の肌が完全に乾いていない状態が最適です。
また、閉め切った室内では暖房などにより一層乾燥します。加湿器や濡れたタオルを掛けるなどは、湿度を上げるのに効果的です。
乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)Q&A
- Q.冬に肌が乾燥すると、かゆくなるのはどうしてですか?
- A.乾燥により、刺激物質(洗剤やアレルゲンなど)をシャットアウトするバリアーの役目ができなくなるからです。
肌の表面には、皮脂膜という例えるなら天然の保護クリームがあります。これが様々な刺激物質から体を守るバリアーの役目をしています。ところが、肌が乾燥するとこれが失われ、外からの刺激物質がダイレクトに侵入し、かゆみが生じます。かゆくなるとその部位をかいてしまうため、さらに肌が傷つき、かゆみが強くなるという悪循環をも引き起こす恐れもあります。 - Q.ひびはどうしてできるのですか?
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A.2ひびとは、手のひらやかかとの角質が硬くなり、ひび割れを起こした状態です。ひびは次のようなステップで起こります。
①皮膚が炎症を起こす 皮膚のある部分が刺激を受け続けると、「再生して皮膚を守ろう」と活発に細胞分裂を行います。結果、新たにできた細胞が重なり角質層が厚くなります。 ②角質層が乾燥する 湿度が40パーセント以下になると、角質層から水分がどんどん蒸発し、ひび割れを起こします。この状態は、お正月のお供え餅と同じ状態です。 - Q.乾燥肌を予防・改善する生活法はありますか?
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A.湿度に気を配り、皮膚を保護することを心がけてください。
部屋の湿度に気を配る 部屋の湿度が40パーセント以下にならないよう、加湿器などで調節しましょう。ストーブ、エアコン、電気こたつ、電気毛布の使用は最低限にとどめてください。 下着類で皮膚を保護する 長袖、長ズボンの下着の着用で皮膚を保護しましょう。木綿や絹などむれない素材を選ぶと良いですよ。 高温での入浴や、せっけんの使い過ぎを控える 高温のお湯に長時間入ると、皮脂が奪われるので注意しましょう。乾燥の程度によっては、せっけんの使用は1日おきにするなどの調節するといいですよ。乾燥肌用せっけんもおすすめです。 ストレス発散を心がける 緊張や不安などの精神的ストレスでもかゆみが増強します。ストレスを溜めないよう心掛けましょう。